Tim Mousseau holding a great tit (Parus major) in the Red Forest of the Chernobyl Zone of Alienation.
Timothy A. Mousseau
Professor of Biological Sciences 
University of South Carolina, Columbia 
Department of Biological Sciences
Coker Life Sciences Rm 706
Columbia SC 29208  USA
tel: 803-777-8047; fax:803-777-4002
Mousseau@sc.edu
Mousseau’s Chernobyl Research
Mousseau’s CV.mailto:Mousseau@sc.eduhttp://cricket.biol.sc.edu/chernobyl/Chernobyl_Research_Initiative/Introduction.htmlhttp://cricket.biol.sc.edu/mousseau/mousseau-cv.pdfshapeimage_2_link_0shapeimage_2_link_1shapeimage_2_link_2
 


ティモシー・ムソー (Timothy Mousseau) 教授は、1998年 McGill 大学 (カナダ、モントリオール) より博士号を取得、その後、ポスドク研究奨学金をカナダから授与され、カリフォルニア大学デービス校でポスドク研究員として生物生態学を研究されました。1991年、アメリカ合衆国サウスカロライナ大学 (University of South Carolina) の教職に就き、現在は教養学部生物学科 (College of Arts and Sciences, Department of Biology) の教授として研究を行っています。


ムソー教授は2010—2011年まで大学院学生部長と大学院教育・研究課程副部長に就任、2006—2010年まで教養学部副学長、1997—1998年までアメリカ国立科学財団 (National Science Foundation) 評議委員、そして数々の科学研究誌、アメリカ国立科学財団 、アメリカ地質学会、国際研究基金のアドバイザーとして任務を遂行されてきました。これまで130を超える論文を出版、そしてオクッスフォード大学出版会より2冊の学術本 (Maternal Effects as Adaptations 1989, チャールズ・フォックス共著, Adaptive Genetic Variation in the Wild 2000, バリー・シナルボ & ジョン・エンドラー共著) を出版されています。現在、ニューヨーク科学学術会より出版されている "Annual Review Series, The Year in Evolutionary Biology" の編集委員をチャールズ・フォックス教授と共にされています。2008年にはアメリカ科学振興協会 (American Association for the Advancement of Science, AAAS) の特別会員、2009年には“National of the Explorers Club”特別会員、そして2011年には“Cosmos Club”(ワシントンDC) の一員として選出されました。


ムソー教授の学術本や論文はこれまで5200回以上、国内外の研究者らにより引用されています。学術研究費は、アメリカ国立科学財団 、アメリカ合衆国農務省、アメリカ国防総省、フランス国立科学研究センター、サウスカロライナ州環境省、アメリカ合衆国野生動物保護基金、北大西洋条約機構、カナダ科学振興会、ナショナルジオグラフィック協会、海洋学術協会、QIAGEN GmbH (会社)、Samuel Freeman チャリティー基金、そして私立基金などにより支援されています。ムソー教授と彼の研究室の学生らは、バクテリア、昆虫、そして鳥類など幅広い生物類を研究材料として扱っています。主な研究テーマは、適応変異に関する遺伝学と母性効果の進化 (genetic basis of adaptive variation and the evolution of maternal effects) です。


1999年よりムソー教授と共同研究者 (アンダース・ペイプ・モラー教授、Paris-sud 大学) は、ウクライナのチェルノブイリ原発事故により放出された放射性物質が、鳥類、昆虫類、そして人間におよぼす生態的また進化的影響を研究されています。これらの研究より、多様な植物や動物種は、チェルノブイリ原発から放出された放射性物質を浴びることで生物細胞内の遺伝子突然変異率が増加し、その結果、遺伝的荷重を負うことによって様々な負の影響を受けていることが明らかになりました。例えば、ツバメ(Barn swallow, Hirundo rustica) は、この遺伝的荷重により、生育や産卵、そして生存に負の影響を受けていることが明らかになりました。また、個体レベルそして個体群レベルで受けるこれらの負の影響は、周辺地域の生物群集に多大な影響をおよぼしている事が分かりました。ムソー教授は現在、なぜ放射性物質により受ける影響が他種間で異なるのか、その要因を明らかにするために研究を行っています。また、このチェルノブイリでの研究経験を生かし、現在日本の福島原発により放出された放射性物質が動・植物相にどのような影響をおよぼすのか、その研究調査を開始しました。


日本語訳:梶田幸江、ケンタッキー州立大学(Yukie Kajita, Ph.D. University of Kentucky)